吉野川からの心地よい風を感じて暮らす
阿讃山脈と吉野川に挟まれ、豊かな水と土壌に恵まれた徳島県板野郡上板町は、高級菓子に使われる阿波和三盆糖発祥の地であり、藍染めの原料「すくも」の製造・出荷量日本一を誇る「藍のふるさと」としても知られています。
吉野川のほど近く、田畑が続くのどかな風景の中に、堂々とした佇まいの昭和42年に建てられた鉄筋コンクリート造の住宅があります。正倉院をイメージしたという、床を高く上げた構造により湿気の影響を受けず、とても状態の良い物件です。
昭和のモダニズム建築を感じさせるダイナミックな構造体
鉄筋コンクリートの柱や梁の構造体をあえて収納と一体化し、居住空間の広さを確保したままで収納を増やした贅沢な造り。昭和当時のモダニズム建築らしい表現の多様さと力強さを感じる構造体。当時の職人の技術と材が惜しみなく使われた意匠性と統一性の高いデザイナーズ住宅です。
豊富な水源のおかげで井戸水も健在しているので、水道代の節約にも。300坪を超える広い敷地には、日本庭園のほかにも歴史を感じさせる蔵や、鉄筋コンクリート造住宅に付属で建てた木造の二階建てもあります。部屋数が多いので、宿泊施設や商業施設としての活用もできそうです。
屋根の部分は、目地入りコンクリートの打ち放し材の表面をハツリで仕上げているそう。ざらざらとした質感の屋根が建物全体のアクセントになり、モダニズム建築らしさを象徴しています。
家の歴史と素材価値が残る内装
模様を描く月白色の石材調タイルが、柔らかな光をまとい見る者の目を奪います。格天井を施した格調高い客間。
和室には、大阪の木材屋まで購入しに行ったという京都ブランドの北山杉の柱や、屋久杉の一枚板の欄間、桑の木の襖枠など貴重な木材をふんだんに使用しています。 屋久杉の竿縁吹き寄せ天井。竿縁が太く、二本通っているのは珍しいのだそう。
南東向きのキッチン分離型ダイニング。左側の扉の奥にキッチンがあり、IHキッチンにリフォームされています。壁に建て付けられた食器棚は、キッチンからもダイニングからもどちらでも使える両面仕様。
二階の和室の天井は、中央の化粧垂木を中心にハの字に勾配がついている舟底天井と呼ばれるもの。入口には網代天井も施されています。
玄関正面廊下の突き当たりにある掃き出し窓の外に開けられた吹き抜け。中庭から空が見えて心地よい。
広々とした敷地には「歴史ある蔵」も
本宅の北側には、明治期に建てられたと思われる蔵があります。梁が太く、三重扉構造の堅固な土蔵です。 中には古書の数々が。掘り出し物がたくさんありそうです。
邸宅内の照明の数々。レトロモダンなデザイン性の高いものばかり。
意匠と構造のバランスの良い設計
建築家が残した設計図・構造図から、新しいデザインに挑戦しながら当時の構造技術を惜しみなく発揮していることが感じられます。
徳島では遊山箱と呼ばれる手提げの重箱のようなお弁当箱があるそうです。春の節句の時は遊山箱に巻き寿司を詰め、吉野川に遊びに行ったそう。広い河川敷は県民の憩いの場になっています。
<基本情報>
価格:1,500万円
所在地:徳島県板野郡上板町瀬部
交通:土成ICから車11分、板野ICから車19分
築年月:1967年10月
建物構造:RC2階建
間取り:6LDK
ライフライン:プロパンガス、電気、浄化槽
権利内容:所有権
取引態様:媒介
<土地情報>
土地面積:993.27㎡
建物面積:440.28㎡(付属の建物を含む)
<その他>
付属建物 ①居宅 :木造2階建 ②物置:鉄骨造平屋建
未登記の蔵あり、設計図書現存
備考:更新日2024年3月31日/次回更新予定日2024年4月30日
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